「叫び」テンペラ画(1910年)オスロ市立ムンク美術館所蔵
東京都美術館で開催中の「ムンク展ー共鳴する魂の叫び」
初来日の「叫び」を見られるチャンスです。
見に行く前に「叫び」について知っていたら、より楽しめます。
ムンクの「叫び」は、複数枚あるって本当?
ムンクの代表作「叫び」は、油彩・クレヨン・パステル・テンペラと4点あります。
左)クレヨン画(1893年)オスロ市立ムンク美術館所蔵
中央)油彩(1893年)オスロ国立美術館所蔵
右)パステル画(1895年) 個人所有
そして、今回初来日で公開されるのは、テンペラ画で4点のうちで唯一黒目がありません。
2012年にサザビーズで競売にかけられた、個人所有のパステル画(1895年)ムンクの「叫び」は、当時の史上最高価格約96億円で落札されました。
「叫び」の点数をムンク自身が明言していないので、これから新しい「叫び」が見つかる可能性もあります。
また、モノクロバージョンのリトグラフは、大量に制作されているので、何枚存在しているかわかりません。
「叫び」には同じモチーフの「絶望」「不安」がある
「叫び」と同じ構図、同じ不安・恐怖が描かれた作品が複数枚あります。
どの作品も迫りくるような、覆いかぶされて苦しいようなそんな気持ちになりますね。
左)「絶望」この作品が、最初の「叫び」だとも言われています。
中央)「不安」描かれた人数が多い分、不安感が掻き立てられます。
右)「絶望」今回のムンク展で「叫び」と一緒に公開されています。
ムンク「叫び」の意味
「ムンクの叫び」は、描かれてる人物がムンクでもなければ、叫んでもいません。
ムンクが叫んでると思ってる人が多いと思うけど、叫んでないです。
「叫び」の作品名から描かれた人物が「オォーーー」と叫んでように感じますが、不安を感じて恐怖と戦ってる姿なんです。
本当の作品名は「叫び」ではなかった?
もともとの作品名は「ザ・ネイチャー・オブ・スクリーム」(自然の叫び)だったのです。
この作品名からも、叫んでいるのは自然であって、自然の叫びを聞くまいと耳を塞いでいるところだとわかります。
盗難被害にあった「叫び」
1994年 リレハンメルオリンピックの開会式当日にオスロ国立美術館の油彩の「叫び」が盗難にあっています。オリンピックに合わせて、特別展示をされており、警備に不備があったためですが、3ヶ月後に犯人が逮捕されて「叫び」は無事に取り戻されました。
2004年には今回公開されているテンペラ画の「叫び」が「マドンナ」とともに盗難被害にあい、その後、犯人は逮捕されましたが、作品は見つからず、2006年に発見されたときには、「叫び」には液体がかけられ激しく損傷していたため、完全な修復は不可能でした。
「叫び」と一緒に強奪された「マドンナ」も今回公開されています。
ムンクは自画像が好き
今回のムンク展では、自画像がたくさん公開されています。
左は1882年、右は1919年 スペイン風邪の後の自画像
ムンクの作品は、パブリックドメイン(公有財産)
2015年1月1日から、ムンクの作品はパブリックドメインになったので、このように個人のサイトで作品転用してもOKになります。
叫びのパロディー商品がたくさんあるのも、パブリックドメインだからです。